ゆうびん

CHARGE(チャージ)症候群という先天的な疾病を抱えて生まれた裕(ゆう)と過ごす風景を書き連ねます。

言葉の土台

暑いですね。今年も夏がやってきました。
ゆうにとっては、3回目の夏。
今年も出かけた夏祭り。これまでとの大きな違いは、声をたくさん出したり、太鼓や音楽のリズムに合わせて、拍手をしたり、体を動かすようになったことでしょうか。
最初は、じーーっと、太鼓や踊っている人を見ていますが、しだいに体で表現しだします。
「確認行動」とも言われるそうですが、ゆうは、物事をじっと観察してから、行動を起こす傾向がとても強いです。
私は、視覚聴覚などの五感を使って、無意識のうちに、その場の状況を理解して行動していますが、ゆうは、聴覚がない分、視覚の力を存分に活かし、つぶさに見まわすことで、次の行動へとつなげているようです。
そして今では、音への気づきが進んだことで、より状況を確認することが増えてきたようにも感じます。

日本に言語はいくつある?

と聞かれたら、どんな答えを想像しますか。

たいていの人は、まず「日本語」が浮かぶと思います。
それからアイヌの言葉やいくつかの方言が出てくるでしょうか。
ただ、方言は言語と言えるのか、など考え始めると、なかなか数を示すのは難しく感じられてくるかもしれません。

http://www.ethnologue.com/ という、世界の言語をまとめたサイトによれば、
日本にある言語の数は、15とされています。

www.ethnologue.com

詳しくは、サイトを見ていただければと思いますが、
日本語のほか、アイヌ語や南西諸島や八丈島などの言語、
そして、日本手話も言語のひとつとして明示されています。
手話を言語と思っていない方も少ないないような気がしますが、ろう者が使い、築き上げてきた言語です。
恥ずかしながら、私もあまり考えてきませんでしたが、手話をすこーしずつ勉強する中で、そのことを学んできました。

また、赤ちゃんが、どうして言語を身につけられるのか。
これも考え出すと、なかなか難しい問いです。
当然、生まれてすぐは、単語をひとつも知らないのに、親を中心に、たくさんの言葉をかけられる環境の中で、声を出すようになり、二語を使うようになり、文章へ、と徐々に言葉を使いこなすようになっていきます。
なかなか大変ですよね。
これ以上詳しくは触れませんが、私は、下のリンクでご紹介する方の本を読んで、なるほどー、子どもの力はあなどれない、すごいもんだ、と思いました。

synodos.jp

そう考えていくと、ゆうは、音が聞こえなかった分、言語を身につける環境は制約があることがわかります。
そのままの環境で過ごしていては、ある種ハンディを持ったままになってしまいます。
どうしたらいいだろう、と考えた時、日本手話という言語に出会いました。
例えば、目の前に車がある時、「車がある」と言葉で表現するわけです。けれども、車というモノに、「車」という名前がある、ということに気づかないと、そうした表現は困難です。
物事と言語のつながりを結び付けていく作業を積み重ねることで、しだいに言語を使いこなせるようになるんだと思います。
今のゆうは、ろう学校で日本手話を学びながら、保育所では日本語に囲まれる環境にあります。そして、音の世界に気づき始めたところです。

どういう言語を使うのか、最終的に選ぶのは彼自身だと思いますが、私は、彼がいくつか選べるような環境を整え、身につけてほしいなあ、と願っています。
実際にろう教育に携わっている方からお話を伺ったり、同じチャージ症候群の先輩方の姿を見たりして、これからを想像しつつどうしようかと考えますが、すぐに答えが出るはずもなく、悩ましい日々です。

長々と堅苦しく書いてきましたが、彼とともに、たくさん、いろんな経験を重ね、言葉でのやり取りを重ねながら、進んでいきたいなあと思っています。

というわけで、今年の夏祭りより。

 

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ちょうちんが気になってしかたない!

 

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  たこせんべいもぐもぐ。

(ソースとマヨがたまらん(想像))