ゆうびん

CHARGE(チャージ)症候群という先天的な疾病を抱えて生まれた裕(ゆう)と過ごす風景を書き連ねます。

すべては愛着から

時には、座学にも出かけます。
先日、聴覚以外にも特別な支援を必要とする、人工内耳をつけている子どもへの関わり方について、セミナーを受けてきました。

オーストラリアにある盲・聾児のための王立機関の専門家の先生方による講義でしたが、支援のテクニックや技法を細かくレクチャーするというよりは、子どもとの関わり方の基本的な姿勢を説くようなお話でした。

かいつまんで内容を紹介すれば、
*聴覚だけの支援では不十分
*子どもの愛着形成が一番大事(発達の基礎になる)
*個々のニーズ、状況を理解して導くこと
*子どもがコミュニケーションを広げるために、両親の関わりを必要とすること
といったことでしょうか。

最近のゆうを見ていて、本当によくしゃべるなあ、とつくづく感じます。
車のマークを手話で表現するのが、マイブームなんですが、先日「じいじの車はトヨタだったよね」と妻に話したそうです。

じいじの車を最後に見たのはお正月、トヨタの手話を覚えたのは先月。
これまでは、車のマークをどう表現するかわからなかったから、こちらに伝えなかっただけで、伝え方、つまり言葉がわかれば、それを使って表すことができるのだと気がつきました。

セミナーで先生も話していましたが、初めのうちは、子どもにどんなに話しかけても、何もリアクションがなく、そのことが親を苦しめます。
私たち家族も、手を変え品を変え、ゆうに話しかけたり、遊んだりしてみても、はじめは反応が薄くて、気持ちがつらかったことを覚えています。
先生は、それでも親は続けてほしい、と言います。
親は、頭ではわかっていても、気持ちとして、それを続けていくのは正直難しい。
その時こそ、専門家の出番です。
働きかけを続けることに、どんな意味があるか、先輩の事例を紹介しながら、アドバイスやサポートが重要となります。

子どもは、最初は表現の仕方もよくわからないから特に反応しないだけで、こちらの様子はちゃんと見て覚えているようです。
ある時、それまでため込んできたものがあふれ出るように、音声であれ手話であれ、表現の仕方を身につけ、盛んに伝えるようになるのかな、と感じます。

 

チャージ症候群の子どもは、視覚や聴覚をはじめ、多くの障害を重ねて抱える、いわゆる重複障害と言われます。だからこそ、単一の障害の子どもと同じように、またそれ以上に支援の機会が必要だと思います。

我が家は、3歳になるまでは、ろう学校の乳幼児クラスに通っていましたが、幼稚部には入ることができませんでした(歩けないという理由から)。
地域によっては、先輩方の運動によって、門戸が開かれているところもあるようですが、教育や療育、支援のありようについて考えさせられることが多いです。


セミナーでは、先生がネコの鳴き声を出し、ネコが鳴いたねーと手話を見せ、次に、口を隠してネコの鳴き声を聞かせると、ゆうははにかみながら「ネコだ」と手話をしてみせました。そして、少しですが、にゃあと鳴きマネも。

こうした座学も、先生の話をきっかけに気づきを得られることも多く、貴重な機会となりました。

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船を追いかけて飛ぶ、カモメやウミネコが気になってます。

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とげが動いているウニを、「なんで?」と言いながら見つめてます。