ゆうびん

CHARGE(チャージ)症候群という先天的な疾病を抱えて生まれた裕(ゆう)と過ごす風景を書き連ねます。

心を寄せる  

ゆうは写真を見るのが好きです。
身のまわりの人や物のアルバムを作ったり、写真日記をつけたりしているからかもしれません。
0歳や1歳ぐらいの写真を見ると、自分を指さしているので、どうやら自分だとわかっているようです。
ここ数カ月で、そういう仕草をするようになりました。
できるようになると、それが当たり前のように感じますが、1年前には想像できなかったことです。その成長には、いつも驚かされます。

我が家ではゆうが生まれる少し前にビデオを買いました。
出産に立ち会う時のために、と思っていたのですが、いざその時は新幹線でした。
初めてのビデオは産婦人科で撮りましたが、その夜から、NICU(新生児集中治療室)にいるゆうを撮影することになりました。
ほんとに、まさかこんなことに、という気持ちです。

産婦人科に入院していた妻に見せるため、NICUに入院するゆうの姿をビデオにたくさん撮りました。
NICUの独特の雰囲気、緊張感の中でビデオを撮影していた時の、なんとも言えない気持ちは忘れられません。

写真が好きなゆうにビデオを見せたらどんな反応だろうと考えた妻は、今週お友達が来てくれた時に、ゆうの誕生へとさかのぼる形で、順にビデオを見せたそうです。
お花見、誕生日、動物園など、食い入るように見ていたゆうですが、0歳のころ、保育器に入っている映像になると静かになり、眼いっぱいに涙をため、妻が手を広げるとしがみついてきたそうです。
まだ小さい子どもは、生まれた時の記憶があると聞いたことがあります。
ゆうは保育器の中でたくさんの管につながれ、苦しかった自分を思い出したのでしょうか?
あるいは自分とはわからず、かわいそうな赤ちゃんがいると涙ぐんだのでしょうか?
いずれにせよ、ゆうが今ここではない、離れた何かに対して心を寄せて涙を浮かべたということ、ゆうが手術を3度乗り越え、2年半生きる中で、心も育まれてきたんだな、と改めて気づかされた出来事でした。

 

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東京おもちゃ美術館にて、お友達のママ撮影。