ゆうびん

CHARGE(チャージ)症候群という先天的な疾病を抱えて生まれた裕(ゆう)と過ごす風景を書き連ねます。

はじめての波乗り 2回目の版画

ろう学校も終業式を迎えて夏休み。
宿題は、「お手伝いをする!」

食事を終えて、皿洗いをするのが私のタスクなので、いつものように洗っていると、ゆうがダッシュしてきます。
何事かと身構えると、僕が洗うと主張。
踏み台を自分で持ってきて、ご覧の通り。

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落っことして割りそうで、私はひやひやしながら手を出してしまいました。

さて、いろいろな挑戦を重ねているゆうですが、今年ははじめて波乗りをしてきました。

毎月通っている葉山の教室。
夏と言えば海。というわけで、海で身を守る方法を遊びながら学びます。

oceanfamily.jp

 まずは、体の力を抜いて浮かぶ感覚を確かめます。 

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しかし、興奮のあまり体に力が入りまくり。
ライフジャケットを付けて、ぷかぷか浮かびます。

次は、ニッパーボードを使って波乗り体験。
うつぶせで波間を行ったり来たり。

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教室の子どもたちはボードに立とうと挑戦しているので、ゆうに立とう!と促すものの首を振るばかり。
持ち手を離さず抵抗するので、座らせるだけにとどめました。
新しい挑戦には慎重な性格のゆうですが、しだいにできるようになっているので、本人のやる気を待つことにします。

続いて、2回目の版画。

前回は浮世絵の版画でしたが、今回はかわいい絵です。
横須賀美術館まで出かけてきました。

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版画の先生は、彦坂木版工房のおふたり。

www.hicohan.com

夏らしく、かき氷とスイカを色を変えて摺ります。

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水をかけて、色をなじませやすくしています。

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色をのせて、はけで広げています。

最後に紙をはらりと乗せるのが簡単なようで難しい。
この黒色はスイカの種の版画なのですが、すこしズレてしまいました。

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できあがり!

いつ来ても気持ちいい美術館。
ありがとうございました!

はじめてのヨット

ゆうと一緒に、私も生まれてはじめての経験を重ねてきましたが、今回はヨット。

久しぶりに江ノ島へやってきました。
いつもならエスカーに乗って島の上をめざすのですが、今回はヨットハーバーへ。
これまで見てきた江ノ島とはまた違う光景が広がります。

今回はこちらに参加しました。

https://saeyoyaku.resv.jp/

ヨットの体験乗船ということで、海の上で過ごす40分×2回。
オーストラリア生まれのハンザという小さなヨットで、誰もが乗れるタイプだそう。
ヨットというと身を乗り出して操るイメージがありますが、このハンザは、2人で横向きに乗り込みます。
ちょうどアヒルのボートのような感じですが、ひとりがロープをたぐり、帆を操って、風を読み、ヨットを動かします。
体験乗船の私たちはその横で、海の上を風に乗ってゆらゆら揺られていました。

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これまで、ボディーボードやシーカヤック、カヌー、SUPといろんな方法で海に乗り出してきましたが、風だけの力で進むのははじめてで、風をうまくつかまえた時の海の上を滑るような感覚が新鮮でした。

帰ってきて、ゆうに感想を聞くと、まず2回乗ったヨットの色を指摘。
楽しかったと言うものの、2回目はちょっと飽きた、とぜいたくな感想も。

まあ率直な感想ですが、物怖じすることなく、サクサクヨットに乗り込む姿勢は頼もしくもあり。

2020東京オリンピックセーリング会場となる江ノ島は、これからその準備のため使えなくなる時期も増えるそう。このヨット体験は誰でも参加できますので、みなさんもぜひ!

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夏です!

3年目の田植え

今年も梅雨を迎え、ゆうは手話で「つゆ」を覚えたので、毎日「つゆだねえ」と言っています。

毎年出かけている田植え。
今回は神奈川の大磯農園の田植えに初めて参加してきました。

【2018年】お子さんと!ご家族で!田植え体験参加、今年も受付中です! | 大磯農園

ゆうは水着を着込み、私は半袖短パンで田んぼに入ります。

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毎年同じ事をしていると、ゆうの変化に気がつきます。
去年は、しぶしぶ田んぼに入ったけれど、うまくバランスがとれなくて、ずっと私にしがみついたまま。
苗をつまんで、田んぼに植えつける作業はほとんどできませんでした。
10分もすれば飽きてしまい、もうおしまい、と手話で主張し、丘にあがって遊んでいました。

今年も、田植えと聞いてもノリはよくもなく、すぐにおしまいと言われるかな、と思っていました。
ところが、ゆうは思いのほかがんばった。

田んぼに入ってすぐの作業は、苗をたくさんまとめて束ねる「ばくだん」づくりでしたが、苗を抜き取っては泥を洗い、私が受け取って苗を束ねていく。
文字通りの共同作業、役割分担ができていました。

その後は、いよいよ田植え。
去年だったら、もうおしまいと主張したでしょうが、今年は「まあしかたない」という雰囲気で田んぼの中に入っていきます。

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足や手が泥で汚れるのも嫌がっていた去年に比べると、今年は嘘のように汚れを気にせず、田植え作業を続けていました。
これも変化です。

30分ほどでしょうか。田植え作業を続けてさすがに一服。
畝から田んぼを見渡すと、そこには見たこともないほどのおたまじゃくしの大群が。

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ゆうは、おたまじゃくしは見たことがあるものの、ここまで多いとやはり気になる様子。
手ですくって、手のひらにおたまじゃくしをのせ、のぞき込みながら観察しています。
どちらかと言えば、動物とのふれあいが得意ではないように見えるゆうが、自ら積極的に生き物を手に取る姿が新鮮でした。

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と思い休憩すると、ゆうはもうこれでおしまい、とのこと。
お昼になっていたし、人も多いので田植えを続けなくても大丈夫だろうということで、今年はこれで終了。

新しい体験に連れて行くことで、本人の興味のありかを探ることもできますが、毎年同じことを繰り返すことで、これまでとの変化を実感することができるのもおもしろい、と感じた今年の田植えでした。

ところで、最近のゆうは、自ら考えたおふざけをたくさん繰り出してきます。
例えばこれ。

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大きな手ぬぐいを顔にまき、帽子をかぶってストライダーに。
まるでオリジナルのサンバイザーのようですが、手ぬぐいが萱素材なのでよく透けて周りが見えるようで、ストライダーを乗りこなしていました。
乗り気でなかったストライダーも、長い時間乗れるようになってきて、日々の変化が楽しく感じられます。
やらされている感が拭えなかったゆうも、上手に乗りこなせるようになると自信がついたのか、拒むことがなくなりました。
やはり、本人の気持ち、気づきが大切なようです。


続いて、勉強の一コマから。

〇「だちょう」「おっとせい」「からす」「ペンギン」
この中でひとつだけなかまはずれはなぁに?
答えは「おっとせい」
鳥でないから。

なんですが、ゆうと妻のやりとり。

妻「なかまはずれはなぁに?」
ゆう「からす」
妻「・・・なんで?」
ゆう「からすはとぶけど、ほかはとべない」
妻「・・・オッケー!」
確かに、だちょうもペンギンも飛びませんね。
なるほど、そういった整理もできます。
見所が違って、時々目からウロコが落ちています。

たまごひろい

今週、聾学校の遠足で動物園に行ったときのこと。

くじゃくがたまごを抱いているところを見たゆうが、「たまごをふんでる」と表現。
たまごからヒナがかえることはわかっているけど、「あれはあたためているんだよ」と伝えたら不思議な顔をしたらしい。


キラーンとした妻がリサーチ、探し当てたのがこちら。

たまご拾い公園、宮ヶ瀬コッコパーク

これまでもよく出かけている宮ヶ瀬湖の近くです。

たどり着いたのが、11時ごろ。
しかしパークには誰もいません。

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お休みしてるのかと帰りかけたところで、スタッフの方々が到着され、無事にパークに入ることができました。

中には、七面鳥からにわとりまで、たくさんの鳥がうごめいています。

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小屋に入っていって、たまごを拾います。

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小屋の入口では、にわとりがたくさんお出迎えしてくれるため、あまりの迫力に尻込みしますが、えさとなるパンを投げれば、鳥たちはそちらへ一目散。

ゆうのこれまでの傾向だと、鳥たちに圧倒され「小屋に入らない」と抵抗するかもなあ、と思っていました。
けれど、私も拍子抜けするほど小屋の中に突き進み、卵を採ってきてくれました。
逆に妻は「鳥だけは苦手やねん」とめずらしく消極的で、鶏小屋の外から写真を撮るのみ。

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ゆでたまごをいただき、びっくり!
たまごを包む薄皮がぶ厚い。そして、かみ切れない弾力!
表現しがたいのですが、スーパーで買う卵とは違い、ワイルドな味がしました(笑)

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最後に、小さなひなとご対面。
動物園では、お友達はにわとりを抱っこできたのに、ひとりだけできなかったゆう。
抱っこしてみたらと聞くのですが、やはり、イヤ、と一言。
頭をなでた後、おうちに返すよう手話で促していました。

はちみつができるまで

我が家の社会科見学、今週は養蜂場です。
アクアラインを渡り、千葉の君津市にやってきました。

千葉県房総の見学ができる養蜂場「はちみつ工房」 | 千葉県房総の見学ができる養蜂場「はちみつ工房」


母子は、事前に幼児向けはちみつの本を買い、予習はばっちりの様子。

はちみつができるまで - 監修/藤原誠太 写真/片野隆司ほか - ひさかたチャイルド

 

妻は網をかぶってはちみつを採る気満々でしたが、網をかぶっても蜂に刺されること、着込むと結構暑くなることなどなどにより、諦めることに。
その代わり、矢継ぎ早に質問を繰り出していましたが、お兄さんたちが笑顔で丁寧に答えてくれました。

まずは、蜂が巣を作っている木箱を見ます。

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木の枠を取り出すと、たくさんの蜂が。

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ゆうは、うごめく蜂たちに目が釘付け。
気持ち悪がって見ない子も多いですよ、とお兄さん。

〇みんなメス
 働きバチは全部メス、女王バチもメス。
メス10,オス1くらいの割合だそうですが、オスはまったく働かず、巣で食べて過ごしているそう…

次は、実際にはちみつを取り出します。

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蜜の詰まった蜂の巣は結構重いです。
表面の白い部分は、蜂が蜜に蓋をしたところだそう。
そこを削ると、中には蜜がいっぱいに詰まっています。

〇巣蜜
 削った白い巣の部分は、巣蜜と言い、食べられるそうです。
口に残るガム状のものは蜜ロウで、健康食品として注目されているそう。私も食べてみましたが、不思議な感じ。

 

遠心分離して蜜を取り出すため、専用の機械にかけます。

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ひたすら、ぐるぐるまわします。
すると、

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はちみつが出てきます!

〇ひとつの巣箱
3キロぐらいのはちみつが、絞りとれるそうです。遠心分離機にかけた後、ざるで漉すと、出来たてはちみつ!

お兄さんによれば、色が薄めだけれど、さっぱりとして味わいで上品な感じ、とのこと。
なめてみると、たしかにしつこくない。

試しに、サクラ、百花、ソバのはちみつも。

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どれも、これまで味わったことがないような蜂蜜ばかり。

〇はちみつの種類
 花によって出来上がったはちみつの色も味も違ってきます。ハチは蜜のありか(花)を知ると、同じ場所と巣を行き来するので、特定の種類の花のはちみつを作ることができるそう。


またひとつ、知らない世界を満喫しました。

突然のキャンプ

入院予定日が近づくにつれ、覚悟はしていたものの、胸のざわつきが高まってきて、考えてもしかたないことを考えてしまい、悶々とした時が続いていました。

そして、いよいよ明日入院という前日夜、病院から電話が入りました。

入院を延期してほしい、とのこと。

心臓の手術の後は、集中治療室で慎重に経過を診ることになりますが、急な患者さんのためベッドの空きがなくなったそう。
ゆうの場合、大至急必要な手術ではないため、優先順位は下がります。

事情はよくわかりますが、高ぶっていた気持ちがおさまらず、なんだかふぬけた感じに。

けれど思い返すと、ゆうが生まれてすぐ、心臓手術のため転院したのですが、ひょっとするとその時も同じような思いをした人がいたのかもしれません。

そんなふうに想像すると、自然と気持ちも収まっていき、与えられたこの時間をどう楽しもうかと気持ちを切り替えられました。

 

そうこうしているうちに、手術のために空けていたはずの連休の予定が、妻によってあっという間に埋まっていきました。

せっかちとしか言いようがありません。

というわけで、他の聾学校のお友達のキャンプにお邪魔することになりました。

突然のキャンプでしたが、近い世代のお友達、年上のお兄さん、お姉さんに遊んでもらい、はしゃぎまわるゆうを見て、来てよかったとしみじみ思いました。

昼はシーソーや落とし穴を作ったり、夜は子どもだけでテントに集まり盛り上がっていました。

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キャンプ場近くの海岸にて、砂浜に埋まるゆう。

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寝ながら凧揚げ。たしかにタコを見上げやすいな。

 

ゆうを放りだして海岸をなにやら探し回っていた妻は、わかめやひじきを採ってきました。

キャンプ場に持ち帰り、子どもたちを集めて、わかめとひじきをお湯にくぐらせ、色の変化を実演していました。

褐色のひじきが、鮮やかな緑に!

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そのうち教室を始めそうな勢い。

そして、わかめは

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「自家製乾燥わかめ」に。

 

手術は秋頃になりそうです。

というわけで、引き続き、慌ただしいゆうびんをよろしくお願いします。

藍染めこいのぼり

この週末は、藍染めのこいのぼりづくりに挑みました。

http://www.nihonminkaen.jp/facility/dentou_kougeikan/


申し込みの倍率が非常に高かったようで、当選した我々はラッキーだなと思っていたところ、

「必ず当選するようにハガキ書いといたからな、まぁ当たると思てたわ。」と妻。

どんな技か知りませんが、すごい技があるものです。


まずは下書き。

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次に、染め上がりをイメージしながら、ビー玉やあずき、輪ゴム、洗濯ばさみを使って、布にくくりつけていきます。目の部分はフィルムケースで。

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そしていよいよ藍染め。
投入。

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引き上げると緑色でしたが、空気に触れるとしだいに藍色に。
おもしろい!
布を広げて藍色を引き出していきます。

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洗ってビー玉などを外すと・・・

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染め上がり。
吹き流しやこいのぼりの目つけ、ささにぶら下げ、できあがり!

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身近なところでこんな経験ができるとは知りませんでした。

もう二度と同じ模様を作ることはできなさそう。
染め物の奥深さを少しだけ感じることができました。

「へぇ、持ち込みで体験もできるんですか?予約が必要ね、了解でーす。」

妻の会話が聞こえてきました。

また近く、来ることになりそうです。

 

そんな毎日ですが、いよいよ心臓の根治に向けた手術が近づいてきました。
生後3週間ほどで受けた手術から今まで、想像もできないほどいろんなことができるようになりました。
次の手術の後も、もっといろんなことができるように。